HIVとエイズって何?
HIVとはウイルスの名前であり、エイズとはHIVに感染して免疫力が低下し、様々な疾患を発症した状態のことを言います。
HIVに感染すると、自覚症状のない時期が数年から十数年続き、その間にも病気と闘う免疫力が低下していきます。そして、本来なら自分の免疫力で抑えることのできる病気(肺炎など)を発症するようになります。免疫力が低下することで発症する疾患のうち、指標となる23種類の疾患が定められており、これらを発症した時点でエイズ発症と診断されます。
※ HIV:Human Immunodeficiency Virus/ヒト免疫不全ウイルス
※エイズ(AIDS):Acquired Immunodeficiency Syndrome /後天性免疫不全症候群
HIVはどのように感染するの?
HIVの感染力は弱く、またHIVは唾液や汗にはいませんので、日常生活ではうつりません。
主な感染経路は①性的接触による感染、②血液を介しての感染、③母子感染の3つです。
それぞれの感染経路について詳しく説明します。
1. 性的接触による感染
HIVに感染すると、HIVは血液や精液、膣分泌液などに多く含まれており、性的接触により相手の性器や肛門、口などの粘膜や傷口を通じて感染します。性的接触が最も多い感染経路であるため、性行為時のコンドームの正しい使用は、HIV・エイズ予防の有効な手段の一つです。緊急ピルや避妊薬はHIVや他の性感染症を防げません。
2. 血液を介しての感染
HIVが混入した血液により感染するケースです。注射器・注射針の使い回しや違法薬物の回し打ち、医療現場における針刺し事故などがリスクとして知られており、感染者の血液がほかの人の血液中に侵入すれば感染する可能性があります。昔は血友病の方が治療に使った血液製剤にHIVが混入していたためHIVに感染したことがありました 。
3. 母子感染
母親がHIVに感染している場合、妊娠中や出産時に子どもに感染するケースや、母乳によって感染するケースがありますが、適切な治療や母乳を与えないなどの対策により子どもへの感染を抑えることができます。
軽いキスでも感染するの?
キスで感染する可能性はありません。ただし、口の中に出血がある場合は、感染のリスクがあります。
唾液を介して感染することはないため、基本的にキスで感染する可能性はありません。
しかし、HIVは血液中に含まれるため、口の中に出血や口内炎がある場合には感染する可能性がゼロとは言い切れず、注意が必要です。
コンドームは100%安全?
正しく使用すれば、ほぼ100%安全です。コンドーム使用時は、次の2点に気をつけましょう。
- ・傷や破れのないコンドームを使用すること
- ・性行為の始めから終わりまでつけておくこと
また、有効期限のチェックと爪でコンドームに傷をつけない注意もしましょう。
HIVは血液、精液、膣分泌液などに多く分泌されますので、それらの体液が粘膜や傷のついた皮膚に触れないようにすることが必要です。HIVの感染経路のうち、一番多いのは性行為なので、HIV感染を防ぐためには、コンドームをつけるのが有効です。また、女性の方は相手の男性に使用してもらうことが重要です。オーラルセックスの場合も、口腔粘膜から感染の危険性があるため、コンドームを使用することが大切です。また、コンドームの使用は、HIVの感染予防だけでなく、梅毒やクラミジアなどの性感染症の予防にも役立ちます。
HIVに感染したら見た目でわかるの?
見た目ではわかりません。感染しても無症状の期間が長く、検査を受けずに感染を知る方法はありません。
HIVに感染すると数週間後に、インフルエンザに似た症状(発熱・筋肉痛・頭痛など)が現れる場合がありますが、いずれもHIV感染症特有の症状ではなく外見上の特徴などもないため、HIVに感染したかを調べるためには、HIV検査を受けるしかありません。
HIV検査は全国のほとんどの保健所等で無料・匿名で受けることができます。また、有料ですが、医療機関でもHIV検査は受検可能です。HIV感染の心配があれば、検査を受けてみることが重要です。
HIV検査ってどこで受けられるの?
保健所や医療機関で受けることができます。保健所等では無料・匿名で検査可能です。
保健所や自治体の運営する検査所では、名前や住所を知らせなくても無料で検査を受けることができます。検査を受けられる時間は場所によって異なり、予約が必要なところもあるので、事前に「HIV検査相談マップ」や「API-Net」といったHPや電話などで確認することをおすすめします。
病院やクリニックで受ける場合は原則有料です。また、名前や住所を知らせる必要があります。HIV検査を受けられるのは、泌尿器科、産婦人科、感染症科などです。検査受付については、費用や時間なども含めて事前に電話で確認してください。
また、夜間・休日の検査や郵送による検査を実施しているところ、即日で検査結果がわかるところなどもありますので、検査を受ける方の都合や関心に合わせて、検査を受ける保健所・医療機関の検討をおすすめします。
HIV検査ってどんなことをするの?
5ml(小さじ一杯)ほどを採血し、血液検査を行います。
保健所や医療機関等において、5ml(小さじ一杯)ほどを採血し、血液検査を行います。HIVに感染している場合は、HIVウイルスへの抗体ができているという意味で「陽性(プラス)」という結果が出ます。感染していない場合は、抗体ができていないので「陰性(マイナス)」という結果が出ます。なお、感染してもすぐには抗体ができないので、感染の有無をはっきり確認したいときは、感染の可能性がある機会から3か月以上が経過してから検査を受けることが推奨されています。ただし、3か月以内であっても、検査・相談を受けることで、ひとつの目安を得ることができますので、感染が不安な方は検査を受ける前に、相談機関や保健所などにご相談ください(HIV検査相談マップ、API-Net)。
また、最近では、自宅等へ送付される検査キットにより血液を採取し、郵送することで検査ができるHIV郵送検査を実施している自治体もあります。詳細は各自治体のHPなどをご覧ください。
HIVに感染したらすぐエイズを発症するの?
すぐにエイズを発症するわけではありませんが、早期にHIV感染を知り、治療を開始することが重要です。
HIVに感染した後は、(1)感染初期(急性期)、(2)無症候期、(3)エイズ発症期の経過をたどります。感染初期には、発熱などのインフルエンザのような症状がみられることもありますが、感染者の免疫のはたらきにより、数週間で症状はなくなります。その後、無症候期に入ります。無症候期は数年から十数年続く人もいますが、中には感染後、短期間のうちにエイズを発症する人もいます。無症候期の間にも免疫力の低下が進行し、免疫が正常に働かなくなると、日頃かかることのない様々な病気にかかりやすくなり、エイズを発症します。
HIV感染症の治療開始の遅れは、生活の質の低下や生命予後の悪化につながります。エイズ発症前の無症候期の間にHIV感染を知ることができれば、定期的な医療機関での受診等により、最適な時期に治療を始めることができます。
HIVに感染したら治らないの?
HIVを完全にとりのぞく治療法はまだありません。しかし、早期治療によりエイズ発症を防ぐことで、長期間にわたり健康的な社会生活を送ることができます。
現在、HIVを体内から完全にとりのぞく治療法はありませんが、抗HIV薬によってウイルスの増殖を抑えることが可能です。エイズの発症を防ぐことで、長期間にわたり健常時と変わらない日常生活を送ることができ、HIVに感染していない人と変わらない寿命が期待できます。HIV感染が判明したら、できるだけ早い段階で治療を開始することが勧められています。かつては、1日に10以上の錠剤を飲む必要がありましたが、最近では1日1錠の薬も多くあります。HIVの症状を抑えるためには、きちんと治療を継続することが重要です。
HIVに感染していても、薬を飲めば他の人にうつさない?
適切な治療の継続により、他の人に感染させる可能性を大きく下げられます。この状態を「U=U(検出されない=性感染しない)」といいます。
治療を継続して体内のウイルス量が大きく減少すれば、HIVに感染している人から他の人への感染リスクをゼロに近いレベルまで下げられることが確認されています。
治療により血液中のウイルス量が検査で検出できない程度に下がり、それが6か月以上継続すると、性行為によってHIVが他者に感染しなくなることを「U=U(Undetectable:検出されない
=
Untransmittable:HIV感染しない)」といいます。U=Uへの理解を深め、一人ひとりが自分自身の感染状態を知り、早期に医療機関へかかり適切な治療を継続すれば、新規感染も抑えることができます。